ドラゴンボールとジョジョに学ぶ「中ボス社畜理論」を君に教えよう
君は”中ボス社畜理論”をご存知だろうか。
当然知らないだろう。私が10分前に思いついた言葉だ。だが漫画で”強さ”を表現する方法として非常に有効なので、参考にしてくれ給え。
それではまずはドラゴンボールのサイヤ人編を思い出してほしい。ベジータとナッパさんが地球に攻めてきた時のことだ。
ナッパさん強過ぎ。
ナッパさんは1人でZ戦士たちを紙屑のように殺しまくり、全国の少年たちを絶望のどん底に落とし込んだ。私も当時パキスタンのコンビニで立ち読みしながら「こんな奴に勝てるわけないよ...;;」と戦慄したものだ。
しかし、そんな最強ナッパさんの印象があるシーンで一変する。下記画像を参照いただきたい。
「ナッパ!俺のいうことが聞けんのか!」
「す・・・すまねえベジータ・・・つい調子にのっちまって・・・」
これはビックリだ。めちゃくそ強いナッパさんがベジータには怯えきっているのだ。「ナッパがビビるって・・・ベジータどんだけ強いんだよ・・・」と私はさらに震えたものだ。
さて、おわかりいただけただろうか。
これが”中ボス社畜理論”だ。
ナッパが強さの評価が上がるほど、その上に立つベジータの強さの評価も勝手にグイグイあがっていく。社畜(中ボス)が頑張れば頑張るほど、何もしていない社長(ボス)の評価が上がっていくのだ。
ちなみにこの理論は「ジョジョの奇妙な冒険 第3部」でも利用されている。第3部のボスはDIO、中ボスはヴァニラアイスというキャラだ。ヴァニラアイスはDIOに心酔し、忠誠を誓っている。
ヴァニラアイスはとてつもなく強く、ジョジョ一行は仲間を2人も殺された。
そうやってヴァニラアイスが強さが評価される程、その上にいるDIOの強さの評価もグイグイ上がっていくのである。
中ボス社畜理論、恐るべしと言わざるを得ない。
さて、話をドラゴンボールに戻そう。
次はフリーザ編の話だ。
フリーザ様といえば戦闘力53万という数値で全国の読者の度肝を抜いた。
しかしガッカリする事態が起きてしまう。
ベジータ・悟飯・クリリンは相当強くなってしまい、フリーザ様相手にに健闘してしてしまうのだ。悟飯が「3人がかりなら勝てるかもしれない」と思う程だ。
これをウラジミールのコンビニで立ち読みした当時の私はこう思ってしまった。「戦闘力53万でこの程度なのか。フリーザあんま強くないじゃん」と。
これはマズイ。バトル漫画のボスが大して強くないと、盛り上がりに著しく欠けてしまう。
このままでは読者アンケートは低下、打ち切り待った無しだ。鳥山先生も娘さんの誕生日に自家用ジャンボジェットをプレゼントすることすらできなくなってしまう。せいぜいジャンボクルーザー程度だろう。私は鳥山先生の娘さんが悲しむ顔など見たくない。
だが安心してほしい。
私の懸念などすべて鳥山先生の手の上のことだった。なんと鳥山先生はここにきて再び、
”中ボス社畜理論”を繰り出してきたのだ。
私は度肝を抜かれた。なぜならこの時のフリーザ様はすでに仲間や部下は全員やられてしまっていて孤立無援だったのだ。つまり中ボスという存在がいないのに”中ボス社畜理論”を繰り出したのだ。一体どうやって?
変身である。
実はフリーザ様は第4形態まで変身でき、その度に戦闘力が大幅アップできることがここにきて明かされたのだ。
つまり鳥山先生の狙いはこうだ。フリーザ様の第2・第3形態を”中ボス”としてその強さを見せつけ、最終形態を”ボス”として勝手に強さの評価をグイグイ上げようとしたのだ。
要するにフリーザ様1人でボスと中ボスの仕事を担わせたのだ。これこそが”中ボス社畜理論”の応用編の
”セルフ中ボス社畜理論”である
そしてこの理論は見事にハマり、フリーザ様は第2・第3形態で圧倒的強さを見せつけてくれた。おかげで最終形態はどんだけ強いんだという期待を煽りに煽ってくれた。クリリンなど最終形態を想像するだけでガクガク震えていた。
当時の私はモスクワのコンビニで立ち読みしながら思わず呟いた。
「ああ・・・なんて美しいセルフ中ボス社畜理論なの・・・」
さて、”中ボス社畜理論”の話は以上だ。漫画家志望者は必ず覚えておくべきた。言うまでもないが、覚えるだけでは意味がないぞ。ちゃんと実践するように。
今日の講義は以上だ。
次回は鳥山先生が人造人間編や魔人ブウ編で新たに生み出した新理論を紹介しよう。この業界ではこう呼ばれている。
"桃太郎のジレンマ理論”。
この理論が漫画界に大革命を起こすのだが・・・それは次の講義で。